2012年(暦年)の新車販売台数で、乗用車(登録車+軽)のシェアで15.6%とトヨタ自動車に次ぐ2位に躍り出たホンダ。前年比では約1.5倍弱と、全体の1.3倍の伸びを大きく上回った。2011年末に投入した新型軽ワゴン「N BOX」が大ヒット。さらに12年秋に放った軽ハッチバック「N ONE」も好調なスタートを切ったことが大いに貢献した。
しかし、軽自動車(エンジン排気量660cc未満)の好調の裏返しで、登録車(同660cc以上)は冴えない。登録車だけで見るとホンダの年間シェアは14.1%、日産の14.5%に及ばず、前年比伸び率も12%にとどまった。
■ 9月以降の登録車は4割減
昨年8月まではエコカー補助金効果もあり好調に推移したものの、実質的に補助金が切れた9月以降は月次で前年同月比約4割のマイナスを続けるなどまったく振るわない。主力のコンパクトカー「フィット」が、補助金切れで一気に失速したためだ。
トヨタが昨年2月に新型コンパクトハイブリッド「アクア」を投入して販売攻勢を掛け、横綱相撲を見せたのに対して、もともとモデル末期のフィットだけに補助金が終わるとまるで歯が立たなくなってしまった。
そのうえ、自らの軽自動車が想定以上に大ヒット、販売環境が厳しくなった秋以降は、販売店も売りやすい軽の販売に一段と傾き、フィットの落ち込みに輪を掛けてしまったというわけだ。ホンダ自身、12年は“軽”で勝負を掛ける年との位置づけていたとはいえ、その戦略が効き過ぎたといえそう。
もっとも今年は秋にフィットのフルモデルチェンジを予定しており、これには新開発のハイブリッドエンジンを搭載し、アクア以上のカタログ燃費を目論んでいる。現状、トヨタに大きく見劣りするハイブリッドエンジンで追い上げを図る。「今年は新型フィットの投入で軽と登録車のバランスが取れてくる」と伊東孝紳社長は言う。
■ 新型フィット登場までは苦戦続くか
ただ、逆に言えば新型フィットが登場する秋までは、登録車の販売が大きく盛り返す材料には乏しい。
日本市場では今後も軽のウエイトが高まると予想されるとはいうものの、登録車での存在感が薄れれば、クルマメーカーとしてのブランドイメージの低下にもつながりかねない。リーマンショック以降、戦線縮小中の大型車・高級車を含めて登録車の頑張りも求められるところだ。
(タイトル下の写真はホンダ鈴鹿工場のフィット生産ラインで2011年3月時点、撮影:大塚 一仁)